このページは株主総会における、少数株主の議題提案権と議案提案権について説明しています。

少数株主の議題提案権議案提案権は、近時上場会社でも頻繁に使われていますので、ご存知の方も多いと思います。

なお、公開会社とは、一部でも譲渡制限のない株式を発行している会社を、非公開会社又は閉鎖会社とは全発行株式が譲渡制限株式である会社を指します。譲渡制限株式とは、株式譲渡を行う場合、株主総会決議又は取締役会決議が必要な株式をいいます。

1 はじめに

少数株主には、株主総会に関して議題提案権議案提案権があります。

議題提案権とは例えば「事業譲渡の件」を株主総会の目的とすることを請求することをいいます。
議案提案権とは例えば「A社に事業譲渡する件」というもので、株主総会の決議事項となる議案を提案することをを指します。

2 少数株主の議題提案権とは(会社法303条)

⑴ 内容

議題提案権とは、株主が、取締役に対し、一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限ります)を株主総会の目的とすることを請求することができる権利です。

⑵ 行使できる株主の範囲

提案できる株主は、取締役会を設置していない会社の場合は特段要件はありません(株主であれば可能)。提案の時期についても、特段制限はありません(総会の場において行使することも可能)。

取締役会設置会社の場合、総株主の議決権の100分の1(定款で下回る要件を定めることは可能)以上の議決権又は300個(定款で下回る要件を定めることは可能)以上の議決権を6箇月(定款で短縮可能。なお、閉鎖会社はこの要件は不要)前から引き続き有する株主に限られます。株主は、株主総会の日の8週間前まで(定款で短縮可能)に請求しなければなりません。

⑶ 会社側の対応

取締役(取締役設置会社は取締役会)は、提案された内容を検討し、議題とするか否かを検討します。

議題が総会の決議事項でないときは議題とする必要はありませんが(東京高決R1.5.27)、適法な提案を株主総会又は種類株主総会の目的としなかったとき、取締役等は過料に処せられとされています(会社法976条19の2号 参考裁判例:東京高判H27.5.19)。

参考裁判例:東京地判S60.10.29、東京高判H23.9.27

3 少数株主の議案提案権とは(会社法304条、305条、325条)

⑴ 内容

議題提案権とは、株主が、(種類)株主総会において、議案を提出する権利です。動議と呼ばれます。
ただし、以下の動議は違法ですので、審理対象とする必要はありません(会社法304条、325条)。
当該議案が法令若しくは定款に違反する場合
②実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(定款で要件を緩和することは可能)以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合

また、取締役会設置会社においては、株主総会は、会議の目的事項以外の事項については、決議をすることができません(会社法309条5項)ので、動議も目的事項の範囲ということになります。目的事項に含まれていない内容の動議は不適法な動議として却下することになります。

さらに、株主は、取締役に対し当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知することを請求することができます会社法305条

⑵ 行使できる株主の範囲

提案できる株主は、取締役会を設置していない会社の場合は特段要件はありません(株主であれば可能)。

取締役会設置会社の場合、総株主の議決権の100分の1(定款で下回る要件を定めることは可能)以上の議決権又は300個(定款で下回る要件を定めることは可能)以上の議決権を6箇月(定款で短縮可能。なお、閉鎖会社はこの要件は不要)前から引き続き有する株主に限られます。