このページでは、種類株式発行にあたっての留意点について整理しています。
このページでは
・種類株式を発行に当たっての留意点、
・発行した後の運営に関する留意点
をまとめています。
1 種類株式を発行する際の留意点
種類株式を発行する場合には、会社法108条2項に法定されている事項を定款で定める必要があります。つまり定款変更が必要になります。
定款変更は、株主総会の特別決議が必要とされています(会社法466条、309条2項11号)。
また、定款変更から2週間以内に変更登記を行います(会社法911条3項7号,915条)
2 種類株主総会の決議(又は種類株主全員の同意)が必要となる場合
種類株主総会は、法令に定める事項及び定款で定める事項に限り、決議できるとされています(会社法321条)。
また、種類株主全員の同意が必要とされている事項もあります(全員の同意があれば、株主総会で決議しなくても構いません)。
法令で種類株主総会が必要とされる場合(定款変更手続きとして必要となります)や、種類株主全員の同意が必要とされる、具体例としては以下のようなものがあります。株主総会の決議が必要とされている場合、多くの場合、反対株主に株式買取請求権が発生します(会社法116条1項、118条1項)。
内 容 | 要 件(条文はすべて会社法) |
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種類株主に取得条項を付す場合 | 当該種類株主全員の同意(111条1項) |
種類株式に譲渡制限条項を付す場合 | 種類株主総会における特殊決議(111条2項,324条3項1号)。 (※1) なお、当該種類株式を取得対価とする取得請求権付株式、取得条項付株式の種類株主総会の特殊決議も必要です。 |
種類株式に全部取得条項を付す場合 | 種類株主総会における特別決議(111条2項,324条2項1号) 。(※2) なお、当該種類株式を取得対価とする取得請求権付株式、取得条項付株式の種類株主総会の特別決議も必要です。 |
種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがある場合 | 特別決議(322条1項1号,324条2項3号)(※2) |
種類株主総会を不要とする定めを置く場合 | 当該種類株主全員の同意(322条4項) |
(※1)特殊決議とは、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行われる決議を指します。
(※2)特別決議とは、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わる決議を指します。