会社の業況が悪い状況で取引を継続することと、取締役の第三者責任について(高知地裁H26.9.10)
会社の業況が悪化していてたとしても、なんとか事業を継続しようとしてやや無理をして取引を継続することは、一般的にみられるところです。
一方で、取締役は、その職務により第三者に損害を与えた場合。悪意・重過失がある場合、損害賠償責任を負います(会社法429条1項)。
そこで、会社が倒産した後、損害を被った会社の取引先が取締役に対して損害賠償請求をすることがあります。
しかし、認められるケースはほとんどありません。
例えば、高知地裁H26.9.10判決(控訴審も同内容)は責任を認めませんでした。しかし、大阪高裁H26.12.19判決のように、認められた事例もあります。
いずれも事例判断で、諸般の事情を勘案して判断をしています。
悪意・重過失の判断となりますので、どうしても明確な基準がたてにくいところです。
取締役としては、難しい判断が迫られることになりますが、後に責任を問われえるリスクを考えて、会社再建ができる可能性、その検討にあたってきちんと情報を収集すること、取引先に虚偽の説明をしないことなど、一定のラインを守ることが大切です。
このあたりが法律の難しいところでもあり、面白いところです。