このページは閉鎖会社と公開会社の主な違い、取締役会設置会社と非設置会社の主な違いを整理しています

中小企業が会社の機関設計を検討するにあたり、主に悩むのが、閉鎖会社にすべきか公開会社にすべきか、取締役会設置会社にすべきか、非設置会社にすべきかという点ですので、その点に絞って検討をしています。

なお、公開会社とは、一部でも譲渡制限のない株式を発行している会社を、非公開会社又は閉鎖会社とは全発行株式が譲渡制限株式である会社を指します。譲渡制限株式とは、株式譲渡を行う場合、株主総会決議又は取締役会決議が必要な株式をいいます。

1 閉鎖会社と公開会社の主な違い

閉鎖会社と公開会社の主な違いは、以下のように整理できます。

項目(条文は会社法)閉鎖会社公開会社
取締役会(327条1項設置義務はありません設置義務があります
株主総会の招集通知期限(299条総会の1週間前まで総会の2週間前まで
属人的株式(109条2項)の発行属人的株式の発行可能属人的株式の発行は不可
取締役等選任種類株式(108条1項9号)の発行取締役等選任種類株式の発行可能取締役等選任種類株式の発行は不可

なお、属人的株式は以下のリンク先をご参照下さい。

また、種類株式については以下のリンク先をご参照下さい。

2 取締役会設置会社と非設置会社の主な違い

取締役会設置会社と非設置会社の主な違いは、以下のように整理できます(条文は会社法)。

項目         取締役会非設置会社                 取締役会設置会社
株主総会の権限(決議事項)広い。会社法に規定する事項及び組織、運営、管理その他一切の事項について決議できます(295条1項)。

招集通知に掲げられた事項以外についても決議できます(309条5項)。
狭い。決議事項は会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限られます(295条2項)。

原則として招集通知に掲げられた議題のみを決議できます(309条5項)。
少数株主の株主総会議題提案権、議案提案権行使要件持株要件や保有期間の要件はありません(株主であれば可能)。

議題提案権は、株主総会の場で行使することも可能です。
総株主の議決権の100分の1(定款で下回る要件を定めることは可能)以上の議決権又は300個(定款で下回る要件を定めることは可能)以上の議決権を6箇月(定款で短縮可能。なお、閉鎖会社はこの要件は不要)前から引き続き有する株主に限られます。

議題提案権を行使する場合には、株主総会の日の8週間前まで(定款で短縮可能)に請求しなければなりません。
取締役の数1名以上326条1項、348条2項3名以上331条5項
業務執行決定の方法取締役の過半数(348条2項

各取締役に対して委任できる範囲が広い(348条3項)。
取締役会決議

各取締役に対して委任できる範囲が狭い(362条4項)。
業務執行定款で別段の定めを置かない限り、各取締役に業務執行と代表権があります(348条1項、349条1項、2項取締役会で代表取締役、業務執行取締役を選任します(362条3項、363条1項)。
その他取締役の競合取引、利益相反取引の承認は株主総会356条取締役の競合取引、利益相反取引の承認は取締役会365条1項